「中丸先生、機会があれば出版したいと思っているのですが、どうでしょうか?」とは、顧問先のA社長。自社の商品・サービスを広めたいという想いで、出版を検討しはじめたタイミングでのご質問。私は「是非、そうしてください!」と即答しました。
私のようなコンサルタントをはじめ、業種・業界問わず、実に多くの方々が出版していますが、私は「中小企業の社長こそ、出版すべき!」とお伝えしています。その理由は大きく3つあります。
1)本業となる事業の拡大・加速
先ず1つ目は、出版することが本業となる事業の拡大・加速につながるということです。全国の書店数は減少の一途を辿っていますが、2017年5月1日現在、12,526店舗あるそうです。(日本著者販促センター様のこちらのページから抜粋)
その書店に自社の商品・サービスを紹介した書籍が置かれる… 書籍が売れる・売れないはありますが、必ず一定の数は販売されます。出版しても全く広まらない、反響がないのであれば、それは著者としての書き方・伝え方が悪いのです。
もちろん、自社の商品・サービスを広めることが目的だとしても、セールス一辺倒(売り込み)の文章では、読者の心を揺さぶることはできません。だからこそ、読者に伝わるよう“ストーリーとして伝える”必要があるのです。
例えば、社長が会社を立ち上げた時の想い、創業当時の苦労、商品・サービス開発の秘話、お客様の喜びの声など… 実に多くのストーリーが眠っていると思います。そうです。今、申し上げたように「眠っている=目に見えない」のです。
当たり前ですが、人は目に見えないものに価値を感じることはできません。だからこそ、著書を通して商品・サービス・会社の目に見えない部分を可視化することで、価値に変換して伝えなければならないのです。「眠れる資産→ストーリーで可視化→価値に変換」という流れです。
またお客様が商品・サービスを購入するか否かを判断する時、意識する・しないに関わらず、必ず2つのコトを天秤にかけて判断しています。それは「価格」と「価値」です。そして、中小企業は絶対に「価格」で勝つことができません。だからこそ、「価値」で勝負しなくてはならないのです。
「価値」を高めるために、「見えていない価値」を「見える化」する… 「見えていない価値」を「見える化」することができれば「価値が上がる=価格が上がる」ことになり、今以上の高値で売ることができるのです。
そのためにも中小企業の社長が、自社に眠れる、まだ「見えない価値」を「見える化する=書き起こす」ことが、事業の拡大・加速に必要不可欠であることがおわかり頂けると思います。
2)その他大勢から抜け出すブランディング
2つ目は、出版することがブランディングになるということです。ブランディングとひと言で申し上げても人によって捉え方・意味が異なると思いますので、ここで言うブランディングの定義を簡単に申し上げると、「〜と言えば、あの会社!」と見込客にイメージさせることができるということです。
例えば、有名なところでは、「スカッと爽やか〜」と言えば「コカ・コーラ」ですし、「それにつけても、おやつは〜」と言えば「カール」です。「美味しい洋食と言えば、A店」「二世帯注文住宅と言えば、B社」「納期が早く小回りがきく商社と言えば、C社」…と言う具合に、「〜と言えば、当社」と思ってもらえることです。
このブランディングを見込客の中にしっかり構築することができれば、その他大勢の競合他社から抜け出すことができますし、価格で選ばれなくなる・価格競争に巻き込まれなくなります。
3)採用活動・人材育成に有利
3つ目は、出版することで採用活動・人材育成に有利に働くようになるということです。採用活動において、ある経営者の方は「今までは目ぼしい人にこちらからアプローチしていたが、出版してからは当社で働きたいと逆にアプローチされるようになった。」と仰ってました。
人材育成においても、その経営者の方は「自分(社長)がどのような想いで会社を立ち上げたか、どのような想いで事業に取り組んでいるか、都度、社員に話をしなくても、社長が書いた本を読みました!と声をかけられ、私の想いが社員に伝わっている。書籍で書いた内容について、食事をしながら質問されることも度々あり、社員との親交が深まった。」とのこと。
今回は、弊社が提唱している「集客から営業・販売まで一気通貫で仕組み化し、1年で売上2倍の土台ををつくる“導線経営”」という概念とは、少し異なる内容でお伝えしましたが、中小企業の経営者にとって出版があらゆる面でプラスに働く以上、これをきっかけに「経営戦略の中に出版戦略を取り入れる」という視点を取り入れて頂ければ幸いです。
最後に、「出版は私にはできない・無理だ」「私には書けない」という方が多いのですが、そんなことはありません。出版されたことがない方からすれば当然ですが、出版するには正しいやり方を知れば、誰でも出版できますし、著者本人が書く必要はないのです。
確かに出版は楽ではありませんが、それほど大ごとではありません。ご興味のある方は、不定期で私が講師を務める「経営者のための出版戦略セミナー/主催:Jディスカヴァー、後援・企画:学研(次回2017年12月4日)」へのご参加をオススメします。
出版に関して、私の話のみならず出版社・編集者に直接伺うことのできる貴重な機会です。詳細はこちら!