弊社が最も多くご相談を頂き、支援させて頂いているテーマは「集客の仕組み化」「営業・販売の仕組み化」ですが、経営者の方からご相談を頂く案件は多岐に渡ります。
その中で最も多くご相談頂き、且つかなりのメリットを感じて頂けるテーマのひとつに社長の退職金づくりがあります。社長の退職金づくりと言えば、生命保険が王道なのですが、ここにやっかいな問題が潜んでおり、その問題が3つあるのです。
1)保険会社の営業マン・代理店が手数料の高い商品を売る傾向にある。
本来であれば「この商品が社長に最適!」であったとしても、彼らの手数料が低ければそちらを進めずに、経営者が多少損をする商品を売る傾向にあります。その理由は保険商品の特性を考えればわかることで、預かり資産を運用している保険会社から営業マン・代理店と経営者の2箇所に支払いがなされます。ということは、営業マンや代理店が得をするのであれば、その買い手となる経営者が損をし、営業マンや代理店が損をするのであれば、経営者が得をするからです。
もちろん、生命保険に携わる方が全てそのような商品を売っているとは言いませんが、そのようなケースが多数散見されるのは事実です。でなければ、私が経営者の証券などを拝見した時に「目が皿になる」ようなことはないのですが…。中には本当に信じられないという設計の商品を契約してしまい、十数年にわたって相当な金額の損をさせられてしまう商品も少なくないのです。
とは言え、生命保険に詳しいのは保険会社の営業マンや代理店であるので、その営業マンや代理店がどのような保険会社に在籍しているのか、その営業マンはどのような人物なのかをしっかりと見極めなければなりません。
2)税金に詳しいのは税理士だが、保険のことは知らない。
経営者の退職金ともなれば、その額は相当なものになります。そして、必ず発生するのが税金です。当然のことながら、税理士は税金に強いですが、経営者の退職金をつくる「生命保険」には詳しくありません。
にも関わらず、税理士事務所が保険代理店を兼ねていて、そこの商品を進めるということが多分にあります。そうなると、税務を本業としている税理士事務所が複数の保険会社と代理店契約をしているということは稀であり、多くても2社程度でしょう。
そうなると数百ある保険商品の中で「経営者にとって最適な保険が複数提案され、その中で経営者が納得できる保険商品が契約されているか?」というと十中八九、そうではないということになるのです。
3)税理士の仕事は節税のアドバイスではない。
多くの経営者が「うちの税理士は節税対策などのアドバイスをしてくれない!」とおっしゃいます。このような時、経営者の方へ警笛の意味を込めて私が申し上げるのは「社長、税理士の仕事は節税対策をアドバイスすることではないです。」ということです。
多くの経営者が税理士に対して「節税のアドバイス」を期待している傾向があるのですが、税理士は「節税のアドバイスをすることが我々の仕事ではない!」「節税をアドバイスすることはリスクになる!」というのです。
誤解を恐れずに言えば、税理士は国家資格であり、国から免許をもらって「全うに税金を納めさせる仕事」をしています。ところが、税理士が食べていくためにお金を頂くのは国ではなく、中小企業の経営者からです。ここにしわ寄せが生じてきます。そもそもお互いに期待している前提が違うのです。
念のため私の考えをお伝えしておきますが、経営者の言う「節税のアドバイスをすべき」でもなく、税理士の言う「節税のアドバイスはしない」でもありません。なぜなら、変な小細工と見られるような節税はすべきではないですし、必要以上の税金を払うべきでもないからです。押さえるところは押さえて、払うところは払うという意味から「しっかり節税、しっかり納税」という立場です。
まだまだお伝えしたいことはあるのですが、思った以上に長くなってしまったので、そろそろまとめます。彼らが彼ら自身のメリットや保全を重視する以上、そのしわ寄せを経営者が被ることになるということです。
保険でいうなら、解約返戻率が100%を超えるものがあるにも関わらず、75%前後のものを契約しているケースも少なくありません。解約返戻率が100%以上であれば、支払った金額が運用され支払い額以上に多く戻ってくるということです。
にも関わらず、知人の紹介だから…というような形で解約返戻率の低い生命保険に入り、数千万円の金額を払っているのです。この時の返戻率数%が何百万円なるかおわかりですか?時には一千万円を優に超え、数千万円になることもあるのです。とても恐ろしいことだと思いませんか?
だからこそ、経営コンサルタントという立場でしっかりとした信用できる複数社の保険商品を扱える代理店、独立ファイナンシャルプランナーをご紹介させて頂くケースがあります。彼らはどこかの保険会社の商品を売らなければならないというノルマ的なものがなく、複数社の中から経営者に合った最適なプランを提案してくれますし、またそのような人物を選んでいるからです。
上記のようなことを踏まえて、退職金や役員報酬などについてアドバイスしてくれるような人物を是非1人は見つけておいてください。リタイア後の資産形成のみならず、現役の経営者として支給される役員報酬に関しても大きな影響を及ぼします。