「AとBは別モノであると言うのは目からウロコでした!」「AとBを分けなければならない理由がよくわかりました!」とはセミナーに参加された経営者の方々から多く頂く感想のひとつ。
業種・業界・企業規模を問わず、AとBがなければ売上には繋がらず企業経営が成り立たないのですが、この2つは全くの別モノ。
弊社では、絶対にこの2つを混同しないでくださいとお伝えしていますが、多くの企業が同じように考え、同じように扱っています。この2つ、AとBが何かと言えば、それはA)集客とB)営業・販売です。
結論から申し上げると、営業マンに数字を持たせるのは良いのですが、A)集客とB)営業・販売、双方の業務をやらせてはいけないということです。なぜなら、A)集客とB)営業・販売は、似ても似つかない全くの別モノ、水と油の関係だからです。
A)集客は、自社の商品・サービスに興味を持ってくれた見込客を手を挙げさせることであり、資料請求や問い合わせなどがそれに該当します。
B)営業・販売は、A)集客という行為・仕組みの中で、自社の商品・サービスに興味を持ってくれた人に効率良く営業・販売し、売上を上げていく行為です。
ここでお伝えしたいのは、A)集客という行為は、飛び込み訪問やテレアポなど、無闇やたらに人がやる行為ではなく「仕組み」がやることであり、効率良く集客するには「仕組み」がなければならないということです。
20年近く販売台数を伸ばし続けた元ハーレーダビッドソン・ジャパン(以下:HDJ)社長・奥井俊史氏の言葉を借りれば、「バイクに乗ることと売ることは全く別モノである」と言うことと同じです。
HDJ元社長・奥井氏は、1年の半分が雪であるから売れないとする東北地方の販売店に対して、「販売不振なのは雪のせいではなく、売る努力が足りないだけ」と一蹴。「雪でバイクに乗れないからこそ、売る機会がある」として、販売機会につながるイベントや展示会を多数展開し、見事に販売不振から脱却した実績があります。
以前、ハーレーを日本で一番売るディーラー様のご支援をさせて頂いた経緯があり、HDJの戦略や販売手法には注目してましたが、ある機会があり、奥井氏から直接お話を伺った際にこのようなお話を伺いました。
さて、集客と営業の話に戻しますが、「A)集客すること」と「B)営業・販売をすること」は全く別の作業。別の作業である以上、同じ業務として捉えてはいけません。よく見受けられる最も悪い例をいくつか挙げると・・・
●営業マンが、新規の見込客を見つけ、営業・販売している。
●営業マンが、テレアポや飛び込み訪問をしている。
●新規客の開拓を紹介に頼っている。
etc…
いかがでしょう?貴社のやり方が上記のいづれかに該当していたらマズイ!と思ってください。(かなりの中小企業が上記手法のいづれかに該当すると思いますが…)
先ほどもお伝えしたように、自社の商品・サービスに興味があるか否かの見極めを営業マンにやらせていては(テレアポや飛び込み訪問など)、いくら営業マンがいても、いくら時間があっても望む成果には繋がりません。
それどころか逆効果でしかなく、どんなに忍耐強い営業マンであっても疲弊してしまい、離職の原因になるだけです。
では、“集客”と“営業・販売”をどのように分ければ良いのか?そのひとつの例を表したのが下記の動画です。
※動画の再生はこちら(成長戦略TV 第5回)
上記の動画では、【売上アップの方程式】として、売上の要素を3つ(客数・客単価・購買頻度)に分けています。この3つの要素の中で【客数】の①新規客に当たるのが“集客”です。【客単価】【購買頻度】に当たる部分は“営業・販売”であり、“集客”とは一切関係ありません。
さらに、同じ【客数】の中にある“お客様”であっても、①新規客と②既存客では全く違うお客様であるということです。例えば、店舗型ビジネスの場合、
①新規客を増やしたいのであれば、広告やチラシなどで自店の商品・サービスを告知することが有効な打ち手になるかもしれません(=集客すること)。
②既存客を増やしたいのであれば、広告やチラシよりも、ポイントカードを2倍にするという施策の方が有効な打ち手になるかもしれません(=効率よく営業・販売すること)。
ここでお伝えしたいのは、ひと言で“お客様”と言っても、“お客様”によって打ち手が全く異なるということです。
前者の見込客に対して、手厚いサービス・フォローと言ってもまだ見ぬ見込客にそれはできないですし、後者の既存客に対して、web広告・ネット広告でお得な情報を!と言っても的外れな打ち手になってしまいます。
新規で集客することはネット広告・web広告などの“仕組み”に任せる。既存客も含め、自社商品・サービスに興味があると手を上げた見込客に対して、効率よく営業・販売することは人的資源(営業戦略・営業戦術)に任せる… 貴社には見込客を集客してくれる“仕組み”がありますか?効率よく営業・販売できる“仕組み”や人的資源がありますか?